「このまま働き続けていいのだろうか」と思う日があっても、すぐに転職したいと決まるわけではありません。今の仕事に好きなところがあれば、変えることへの不安もあると思います。
そんなときは、転職するかどうかの結論を急がず、何が気になっているのかを少しずつ整理してみましょう。紙やスマートフォンのメモに、思いつくところだけ書けば大丈夫です。この記事では、変えたいことと残したいことを分け、次に確かめることを見つけていきます。
1. 気になる出来事を、ひとつ書き出す
最初から「自分に合う仕事」を考えると、答えが大きく感じられることがあります。まずは、最近の仕事で気になった場面を一つ思い出してみてください。
「急な依頼が重なって、予定していた時間に帰れなかった」「担当する仕事が変わらず、これから経験を積めるか気になった」。このように、いつ、どんな場面で、何を感じたかを書いてみます。
そのうえで、一度だけの出来事なのか、何度も続いているのかを見返します。「仕事が嫌だ」という気持ちの中にも、業務量、仕事内容、評価の伝わり方、周囲との関係など、いくつかの理由が重なっているかもしれません。無理に一つにまとめなくても構いません。
書く余裕がないほど負担が大きいときは、整理を後回しにしても大丈夫です。休むことや、信頼できる人、医療機関などに相談することを先に考えてください。
2. 変えたいことと、残したいことを分ける
気になることを書けたら、その隣に「どうなったら、今より働きやすいか」を添えてみましょう。
たとえば「残業がつらい」なら、「平日の夜に休める時間がほしい」「予定のある日に帰宅時間を見通せるようにしたい」など、望む状態まで書くと、確かめたい条件が見えてきます。残業の長さだけでなく、急な変更の多さが気になっている場合もあります。
あわせて、今の仕事で残したいことも書いてみてください。相談しやすい同僚がいる、通勤の負担が少ない、担当する仕事にやりがいがある。小さなことでも判断の手がかりになります。
変えたいことと残したいことが両方あっても、矛盾ではありません。どちらも自分にとって大切な条件です。全部を同時にかなえる答えが見つからないときは、今いちばん大切にしたいことから考えてみましょう。
3. 今の職場で確かめられることを考える
変えたいことが見えてきたら、今の職場で確認できることがあるか考えてみます。業務の分担、担当する仕事、異動の可能性、勤務時間など、状況によって相談できることは違います。
相談する場合は、「今、何が起きているか」「どう変わると助かるか」「何を確認したいか」を短くまとめておくと、話す内容を整理しやすくなります。相談したい相手が安心して話せる人かどうかも大切です。
職場での相談が難しい場合や、不利益を受けることが心配な場合は、社外の窓口を利用する方法もあります。厚生労働省の総合労働相談コーナーでは、労働条件や職場のいじめ・嫌がらせなどの相談を受け付けています。相談先の情報は、公式の案内で確認できます。
今の職場で改善できるか分からないことは、「まだ分からない」とメモしておきましょう。自分だけで結論を出せない項目があっても、整理は進んでいます。
4. 他の働き方を知ってから考えてもいい
転職を決める前に、他の仕事や職場の情報を集めることもできます。求人を読んで仕事内容や働く時間を確かめる、気になる分野で働く人の話を聞くなど、今の生活の中でできる範囲から始めてみてください。
その際は、求人の印象だけで判断せず、自分が変えたいことと照らし合わせます。「柔軟に働ける」と書かれていても、勤務時間や出社の頻度など、自分にとって必要な条件は具体的に確認したいところです。
経験が足りないと感じたときも、すぐに講座や資格を選ぶ必要はありません。どんな仕事で何が求められているかを調べてから、今の経験を生かす方法や、学びたいことを考えられます。今の職場で経験を積む道も、他の環境を探す道も残しておけます。
5. 次に確かめることを一つ決める
最後に、ここまでのメモを四つに分けてみましょう。
- 変えたいこと:予定を立てられる働き方にしたい
- 残したいこと:人と相談しながら仕事を進めたい
- まだ分からないこと:今の職場で担当や働く時間を変えられるか
- 次に確かめること:相談できる相手と、聞きたい内容を考える
これは一例です。求人を一つ読んでみる、経験を書き出す、生活に必要な支出を確認するなど、自分の状況に合う小さな行動で構いません。余裕があるときに見直す日を決めておくと、分かったことを付け足せます。
考えた結果、今の仕事を続けることを選んでも、転職の準備を始めても、いったん仕事を離れることを考えても大丈夫です。今日の時点で決めきれないなら、分からないことを確かめながら考え続けることもできます。
次の仕事の条件を具体的にしたい方は「転職の希望条件と経験を整理する」へ。退職を考えていて暮らしの見通しが気になる方は「退職を考えたら、生活と仕事で確認しておきたいこと」へ進んでみてください。
参考:厚生労働省「総合労働相談コーナーのご案内」(確認日:2026年10月16日)